食品添加物

魚肉ソーセージは健康に悪い?1日何本まで?理由や危険度を解説

魚肉ソーセージは、食品添加物や塩分、糖質が含まれていることから「健康に悪い」と言われることがありますが、それは本当なのでしょうか。

結論、魚肉ソーセージは食べすぎなければ身体に害を与えることはありません。

むしろ、適切な摂取量であれば身体に良い効果が期待できる食品です。

本記事では、魚肉ソーセージが健康に悪いと言われる理由から、適切な摂取量を解説します。魚肉ソーセージの選び方や健康効果も紹介するので、参考にしてください。

魚肉ソーセージが健康に悪いと言われる理由は?

魚肉ソーセージが健康に悪いと言われる主な理由は、添加物と塩分が含まれているためです。

ここでは、魚肉ソーセージに含まれている塩分と3つの添加物の危険性を解説します。

亜硝酸ナトリウムが含まれているから

魚肉ソーセージには、亜硝酸塩という食品添加物が含まれています。しかし、魚肉ソーセージには微量の亜硝酸ナトリウムしか含まれていません。そのため、魚肉ソーセージに含まれている亜硝酸ナトリウムが身体に害を与えるリスクは非常に低いです。

亜硝酸ナトリウムの量は、一般的に「亜硝酸根」と「硝酸根」で判断されます。以下に、魚肉ソーセージ1本に含まれる亜硝酸根と硝酸根の量を示します。

亜硝酸根硝酸根
魚肉ソーセージ1本に
含まれる量
0.15mg0.70mg
ADIの何%?4.3%0.38%
NOAELの何%?0.043%0.0038%
※ADI:人が毎日、一生涯食べ続けても、健康への悪影響がないと推定される量
※NOAEL:毒性試験において、有害な影響が観察されなかった最大の投与量

このように、魚肉ソーセージに含まれる亜硝酸根や硝酸根は少量です。よって、魚肉ソーセージを食べることで、亜硝酸ナトリウムの摂りすぎになるとはいえないでしょう。

また、亜硝酸塩は野菜にも多く含まれている物質です。例えば、小松菜には魚肉ソーセージの383倍の亜硝酸根と、3.5倍の硝酸根が含まれています。

このように、硝酸塩や亜硝酸塩は、私たちが普段から摂取している食品に含まれています。よって、加工食品に含まれる微量な硝酸塩や亜硝酸塩を摂ったとしても、健康に悪影響を及ぼすリスクは低いといえます。

リン酸ナトリウムが含まれているから

魚肉ソーセージには、リン酸ナトリウムという食品添加物が含まれています。しかし、亜硝酸ナトリウムと同様に、魚肉ソーセージには微量のリン酸ナトリウムしか含まれていません。

そのため、身体に害を与えるリスクは非常に低いと考えられます。

リン酸ナトリウムの量は、一般的に「リン」で判断されます。魚肉ソーセージに含まれているリンの量は以下の通りです。

リン
魚肉ソーセージ1本に含まれる量60.3mg
ADIの何%?1.0%
NOAELの何%?0.010%
ADI:人が、毎日、一生涯、食べ続けても、健康への悪影響がないと推定される量
NOAEL:毒性試験において、有害な影響が観察されなかった最大の投与量

亜硝酸ナトリウムと同様に、魚肉ソーセージに含まれるリンも少量です。よって、魚肉ソーセージを食べることで、リンの摂りすぎになるとはいえないでしょう。

ちなみに、リンはミネラルの一種であり、オートミールには魚肉ソーセージの4.6倍、落花生には4.9倍、そらまめには2.9倍のリンが含まれています。

このように、リンは昔から私たちが普段から摂取している食べ物に含まれているため、摂取自体が問題になることはありません。

コチニール色素が含まれているから

魚肉ソーセージには、コチニール色素という食品添加物が含まれていることがあります。

コチニール色素とはエンジムシという昆虫から得られる着色料です。国内で広く長く使用されてきた「既存添加物」として、一定の安全性が評価されています。

よって、コチニール色素を含む魚肉ソーセージを食べたからといって、健康に悪影響を及ぼす可能性は低いといえるでしょう。

しかし、コチニール色素は急性アレルギー反応を示す可能性が示唆されており、危険性がゼロとは言い切れません。

実際に、日本ではコチニール色素を含む食品の摂取によって、かゆみや発疹などのアレルギー反応が表れた事例が1960年代からこれまでで20例ほど報告されています。

参考:厚生労働省「平成24年8月24日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会」https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002i78m.html 所収「コチニール色素を含む食品によるアレルギーについて」https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002i78m-att/2r9852000002i7hi.pdf

そのため、アレルギーの発症数は少ないものの、アレルギー反応が出やすい人は注意が必要な添加物です。

すべての魚肉ソーセージにコチニール色素が含まれているわけではないため、気になる人は着色料不使用の商品を選択するとよいでしょう。

塩分が多く含まれているから

魚肉ソーセージには塩分が多く含まれているから健康に悪い、といわれることもあります。

実際に魚肉ソーセージに含まれる塩分量は少なくないことから、摂取量には注意が必要です。

魚肉ソーセージに含まれている塩分量は、以下の通りです。

塩分量
魚肉ソーセージ100gに
含まれる量
1.8g
魚肉ソーセージ1本に含まれる量
(1本75gと仮定)
1.35g
魚肉ソーセージ1本は
1日の塩分摂取目標量の何%?
男性 18.0%
女性 20.8%
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

魚肉ソーセージに含まれるナトリウム量から計算すると、1本(75g)当たりの塩分量は1.35gです。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」における1日の塩分摂取目標量は、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされていることを考えると、この塩分量は決して少ないとはいえません。

塩分の過剰摂取は、高血圧や脳卒中などのさまざまな疾病のリスクを高めます。よって、魚肉ソーセージを食べ過ぎて、塩分摂取量が多くなりすぎないよう注意する必要があります。

魚肉ソーセージは1日1本を目安に食べよう

含有量を考えると、魚肉ソーセージに含まれている成分の中で最も健康に悪影響を与えるのは塩分だと考えられます。よって、魚肉ソーセージを食べる際には、塩分量に最も気を遣うようにしましょう。

先述のように、1日の塩分摂取目標量は成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満です。

しかし、令和元年の「国民健康・栄養調査」によると、日本人の塩分の1日平均摂取量は男性で10.9g、女性で9.3gであり、日本人は基本的に塩分を摂り過ぎている傾向があります。

魚肉ソーセージ1本当たりの塩分量は、1日の塩分摂取目標量の約20%を占めています。高血圧気味の方や、塩分を摂りすぎている方は魚肉ソーセージはできる限り控え、1日1本を目安にするとよいでしょう。

魚肉ソーセージの健康効果|適量なら身体に良い!

魚肉ソーセージには注意すべき成分がいくつか含まれていますが、DHA・EPAやカルシウムといった身体に良い栄養素も多く含まれています。

DHA・EPAが豊富に含まれている

魚肉ソーセージに豊富に含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、体内で合成できないオメガ3脂肪酸で、さまざまな健康効果が期待できます。

  • 中性脂肪を下げる
  • 悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす
  • 高血圧を改善する
  • 脳の認知能力を改善する
  • 学習機能を向上させる

DHA・EPAは健康面においてさまざまな良い効果が期待できます。

DHAやEPAは、イワシやサケなどの魚に多く含まれている成分です。普段の食事で魚を十分に摂れていないと感じる方は、魚肉ソーセージを食べて摂取するのも一つの手です。

カルシウムが豊富に含まれている

魚のすり身を主原料としている魚肉ソーセージには、カルシウムが豊富に含まれています。

なかにはカルシウムを強化して「特定保健用食品」として認められている商品もあります。カルシウムは骨や歯の形成に関わる重要な栄養素で、不足すると骨粗鬆症や子どもの発育障害などを引き起こすリスクがあります。

魚肉ソーセージは手軽にカルシウム補給ができる食品として、健康維持に役立つといえるでしょう。

魚肉ソーセージは子どもに食べさせていい?

魚肉ソーセージは、子どもに食べさせても問題ありません。

魚肉ソーセージに含まれるDHAやEPAには認知機能を向上させる効果が確認されており、子どものIQや学力にも良い影響を与えることが期待されています。

塩分の摂り過ぎにならないよう食べすぎには注意が必要ですが、1日1本程度であれば、子どもに魚肉ソーセージを食べさせても問題ないでしょう。

魚の摂取が子どものIQに与える影響は以下の記事で解説しています。お子さまがいる方は、参考にしてみてください。

安全な魚肉ソーセージの選び方

安全な魚肉ソーセージの選び方において、添加物はそれほど気にしなくても問題ありません。

先述のように、魚肉ソーセージ1本当たりの亜硝酸ナトリウムの量は多くの動物実験の結果、健康にまったく悪影響が出なかった量(NOAEL)のわずか0.04%です。

安全な魚肉ソーセージを選びたいときには、添加物よりも塩分量に着目しましょう。

また、カルシウムやDHAなどの健康効果が期待できる栄養素が強化されている商品もあります。魚肉ソーセージによる健康効果を期待したい人は、含まれている栄養素に着目して選ぶのもよいでしょう。

最も安く購入するには?

魚肉ソーセージを最も安く購入したい場合は、ネット通販の利用がおすすめです。

ネット通販では魚肉ソーセージをまとめ買いできるため、実店舗よりも安く手に入れることができます。

魚肉ソーセージは製造後90〜150日を賞味期限としているものが多く、常温での保存も可能なため「食べきれない」という心配も少ないでしょう。

おすすめの魚肉ソーセージ3選|安全性が高いものはどれ?

ここでは、市販されている魚肉ソーセージのなかで安全性が高い商品を3つ紹介します。

DHA入りリサーラソーセージやさしい塩味(マルハニチロ)

出典:MARUHA NICHIRO「DHA入りリサーラソーセージやさしい塩味3本入」

この商品は、1本(50g)当たりの塩分量が0.6gと少ないほか、DHAが850mg、EPAが200mg含まれています。

DHA+EPAの望ましい目標量は1日1g以上とされていますが、「DHA入りリサーラソーセージやさしい塩味」は1本で1.05gも摂取できます。

参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2010年版)」https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.html

DHAやEPAのはたらきによって血液中の中性脂肪を下げる効果が期待できる特定保健用食品として認められており、健康に良い効果が期待できます。

減塩 おさかなのソーセージ(ニッスイ)

出典:NISSUI「生産ステージでの開発」

この商品は1本(70g)当たりの塩分量が0.59gと少なく、一般的な魚肉ソーセージの約半分となっています。よって、塩分の摂り過ぎの心配が少ない商品といえます。

また、カルシウムを強化しており、1本で約1/2日分のカルシウム量となる413mgが摂取できます。さらに原材料に卵を使用していないため、卵アレルギーの人でも食べられるという特徴があります。

また、アレルギー反応を引き起こすコチニール色素の代わりに、トマトリコピンとくちなしの植物性色素を使用しています。

食品添加物を避けたい方や、アレルギー反応を起こしやすい方におすすめの商品です。

ソーセージL 4本束 減塩(東洋水産)

出典:東洋水産「ソーセージL 4本束 減塩」

この商品の塩分量は、上記2商品よりやや高めの1本(70g)当たり0.9gですが、カルシウムが多く配合されています。

1本当たりのカルシウム量は510mgで、これは成人が1日に摂取すべきカルシウムの7〜8割を占める量です。

日本人はカルシウムが不足している傾向にあるため、手軽にカルシウム補給ができるのは大きなメリットといえるでしょう。

魚肉ソーセージに関するよくある質問

ここでは、魚肉ソーセージに関するよくある質問に回答するので、参考にしてください。

毎日食べてもいい?

毎日食べても問題ありません。

ただし、塩分過多にならないよう気をつける必要があります。魚肉ソーセージを食べるときにはそれ以外の食事の塩分量を減らしたり、減塩の商品を選んだりするようにしてください。

生でも食べられる?

魚肉ソーセージは生でも食べられます。

基本的に魚肉ソーセージは製造段階で加熱殺菌をしているため、加熱しなくてもそのまま食べることができます。

もちろん、焼いたり炒めたりしても美味しく食べられるため、さまざまな料理に活用可能です。

魚肉ソーセージを食べると血液サラサラになりますか?

魚肉ソーセージには血液をサラサラにする効果があります。

魚肉ソーセージに含まれるDHA・EPAなどのオメガ3脂肪酸は、血液中の中性脂肪を減らしたり、血栓ができるのを防いだりして、血液をサラサラにする効果が期待できます。

血液がドロドロになると、動脈硬化や脳血管疾患などを引き起こすリスクが高まりますが、魚肉ソーセージを食べることでこれを予防できます。

魚肉ソーセージと普通のソーセージの違いは?

魚肉ソーセージには主に魚肉、普通のソーセージには主に畜肉が使われています。

主に、利用する原料に違いがあります。魚肉ソーセージはスケソウダラをはじめ、ホッケやイトヨリなどの白身魚の冷凍すりみから作られています。

一方、普通のソーセージは畜肉から作られており、日本では豚肉を使用しているものが多いです。

その他の危険と言われる加工食品には何がありますか?

ハム、ソーセージ、ツナ缶などがあります。しかし、いずれも基本的には安全です。

ハムやソーセージには亜硝酸ナトリウムなどの添加物が含まれていますが、魚肉ソーセージと同様にその量はごくわずかです。よって一般的な摂取量であれば、身体に悪影響を及ぼすことはないでしょう。

また、ツナ缶には水銀が含まれていて危険と言われることがありますが、妊婦や幼児などを除き、一般的な摂取量であれば問題になることはほとんどありません。

ツナ缶が危険と言われる理由については以下の記事で解説していますので、気になる方は参考にしてください。

まとめ|魚肉ソーセージは1日1本食べてOK

魚肉ソーセージは、添加物や塩分が含まれていることから健康に悪いと言われることがありますが、1日1本程度であれば食べても問題ありません。

むしろ、魚肉ソーセージに含まれるDHA・EPAやカルシウムといった身体に良い栄養素が、健康効果をもたらしてくれるかもしれません。

本記事で紹介した魚肉ソーセージの選び方なども参考に、普段の食事にうまく魚肉ソーセージを取り入れてみてください。

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